✍️ この記事の著者情報

【自己成長戦略の専門家】
桑田かつみ
💼 経歴・肩書き:
🔹専務取締役(役員)
🔹1970年生まれ
🚀 実績と提供価値:
🔹平社員から9年で役員に至った実体験に基づいた、再現性の高いリーダーシップ、仕事術、メンタル強化の「自己成長戦略」を共有。
🔹成功論 / リーダー論 / 心のスキルアップ / コミュニケーション術を専門。
🔹Xフォロワー3,000人突破!
【心理的安全性 完全ガイド】ミス・発言が減る職場を最強チームに変える「攻め」と「守り」のリーダーシップ
精神的な「安心感」が組織の成果を変える:攻めと守りのメリット
職場環境において、以下の様な傾向に心当たりはありませんか?
- 新人や若手が遠慮がちで意見が出てこない
- 部下の報告が遅い、またはミスを隠してしまう
心理的安全性の高い職場とは、役職や地位に関わらず、全社員が自由に意見を言える環境を指します。この環境作りを目指すことで、ビジネスにおける「攻め」と「守り」の両面で、組織に計り知れない効力を発揮します。
攻めの効力:イノベーションと変化に強い組織へ
現場を知っている社員の「生の声」こそが、イノベーションの鍵です。
多くの組織で、現場の社員(特に若手)は精神的な安心感を保ちにくい立場にありますが、彼らこそが、日々、顧客からの生の声を聴き、市場の最新情報を保有しています。
現場の社員が安心して意見を言える環境は、正しい時代感覚を持ち、ニーズに沿ったアイデアを創出する力の源になります。これにより、世の中の流れを随時掴み取り、不透明な時代を生き抜く「変化に強い組織」になれます。
守りの効力:リスクを未然に防ぐブレーキ役
心理的な安心感があることで、組織は危険に対して素早くブレーキを踏む力が高まります。
例えば、推し進めようとしているプロジェクトに、実は明らかにリスクがあると内心気づいている若手メンバーが、「意見を言えない」「プロジェクトに水を差すようなことはできない」と黙ってしまうケースは少なくありません。
仮にたった一人の反対意見に対しても、耳を傾けられる姿勢があれば、先々の致命的な失敗を防ぐことができます。この「攻めと守りの効力」を備えることこそが、組織が果敢に、かつ安全に業務を遂行するための土台となります。
心理的安全性を損なうNG対応と、上司がすべき行動
会議などで「何か意見はありますか?遠慮なくどうぞ」と声をかけても反応がないのは、日頃から知らず知らずのうちに、上司が精神的安心感を損なう対応をしているからです。
NG対応1:ミスを「叱る」こと
ミスを減らしてほしいがために叱るのですが、皮肉にも叱ることで減るのは、ミス自体ではなく、ミスの「報告」です。
行動分析学の研究が示すように、「ミスを報告したら叱られた」という経験は、「次にミスをすれば隠す」という悪循環を生みます。これにより、取り返しのつかない事態になって初めて問題が発覚するという、最も避けたい状況に陥ってしまいます。
ミスを減らしたいのであれば、必要なのは叱責ではなく、適切な指導です。
- 本人のスキル・モチベーションと状況を照らし合わせ、失敗の原因を仮説立てる。
- 「あなたにはこうなってほしい」という本人への期待をまず伝える。
NG対応2:発言を頭ごなしに「否定」すること
発言者が勇気を振り絞って声を上げても、「的外れだ」「今はそんな話をしてない」という反応は、発言の頻度を激減させます。
発言の質は、何度も意見を発する機会の中で次第に上がっていくものです。内容の質が低かったとしても、まずは意見を出してくれたことに感謝を伝えましょう。
質を向上させるには、テーマに対する課題・原因・解決策などの項目フォーマットを事前に配布し、一定レベルに達した意見が集まるよう仕組み化することが効果的です。
メンバー間で「良い衝突」が出来る職場を目指そう
心理的安全性が最も強く求められる会議などの場では、司会進行役が冒頭で以下の点を明確に呼びかけましょう。
- 精神的な安心感のある場にしたいという強い意志
- 数多くのアイデアを望んでいるという希望
- どんな発言でも尊重すること
- 発言したメンバー全てに対する感謝の意
精神的な安心感がある場においては、共通のゴールのために多様な視点を提供し合う「良い衝突(健全な対立)」が可能になります。たとえ意見が一致しなくても、メンバー同士は仲間であるという認識が共有されているため、人格を否定するような表現にはなりません。
リーダーは自らの「心理的安全性」を確保せよ
望ましくないコミュニケーションを省き、望ましいコミュニケーションを増やす土台として最も重要なのが、リーダー自身の心理的安全性です。
リーダーに求められる3つの視点
① 必要な困難に向き合い、変えられないものを受容する
- ミスやトラブル、他人のモチベーションや考え方など、起きてしまったことや他者の内面は変えることが不可能です。それらに対してオープンな姿勢を保ち、前向きに検討することが不可欠です。
- 組織の理念、仕事の意義、目標といったものを明確に言語化してチームに伝え、改善し得る課題に対して行動を促すことがチームの結束を強化します。
- この能力を発揮するためには、出来事や状況を常に俯瞰する視点が必須です。自分の思考を真に受けず、論理的正しさよりも役立つこと(効果)を重視する価値観に基づきましょう。
真に成果を生むリーダーとは
自分の思考(「それはダメだ」「間違っている」)をすぐに口や態度に出すことは、俯瞰的とは言えません。そう思考した自分も含めて、全体状況を踏まえ、一番良い結果になる対応を考える習慣が、心理的安全性を培う秘訣です。
「ミスをするな」と正論で叱ってもミスが減らないように、論理的正しさだけでは物事は解決しません。精神的安心感を生むリーダーは、単に優しくていい人ではなく、最善の結果・成果を目指す人なのです。
理由つきの感謝で良いチームを維持しよう
心理的安全性の基盤を押さえておくことで、様々な場面で精神的安心感の確保ができます。
ケース1:新規プロジェクト(初顔合わせのメンバー)
リーダーが、プロジェクトの意義、目標、社会への好影響を説明し、全員の合意を得ることが重要です。これにより、メンバーは価値を見出し、目的が共有されるため、知り合って間もない間柄でも遠慮なく真剣な議論が可能になります。
ケース2:長らく共に仕事をしている間柄
精神的安心感のメンテナンスを怠らないようにしましょう。その方法が、「メンバーに1日1回でも理由をつけて感謝を伝える」ことです。
- 成果、アイデア、努力、誠実さなど、具体的な点を見つけて「ありがとう」と伝えましょう。
- ミスやトラブルの報告の際にも、「すぐ教えてくれてありがとう」と伝えるのは特に有効です。
「理由をつけて感謝を伝える」ことは、かなり本気でメンバーを観察しなくてはできません。その結果、業務の流れや各人の長所・ポテンシャルがクリアに見えるようになり、リーダーの意識やスキルも向上させます。
精神的安心感はどの立場からでも環境作りが可能
精神的安心感をもたらすのは、リーダーの役割であることはもちろんですが、誰でもリーダーになれます。
中間管理職の方は、まずご自身の部署の心理的安全性を高めることから始めましょう。また、上司や役員の部下としての立場でも、部下に対するのと全く同様に、「理由をつけて感謝を伝える」ことで安心感のある場を確保できます。
例えば、「発言の機会をいただけてありがとうございます」「ご質問いただけて嬉しかったです」などのように、ありがたいと思った行為に対してお礼を言うことで、相手はその行為が望ましいと認識し、その頻度を増やしてくれます。
役職や地位に関わらず、精神的安心感のある職場を作りたいという意志を持って働きかけていく人は皆、職場の文化を変えていく真のリーダーです。柔軟さと広い視野を持って、伸びやかで強靭な組織を育む営みを是非始めていきましょう。

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