抑えておきたい部下育成のポイント
- 今まさに部下が高いハードルを乗り越えようとしている時なのか
- 自分の力量に限界を感じている時なのか
部下のやる気を引き出す方法
- 自分の存在を他人から認めてもらいたい
- 自分の気持ちを理解して欲しい
やる気の源
部下を育てるための声掛けの仕方
上司は部下を評価する権限を持つため、
上司と部下の関係性は対等ではないことから、
部下が上司に気を使ったり、
委縮してしまったりするのは当然の行為です。
そのことを上司が理解しないまま、
部下に対して投げかける声掛けは、
時に、部下を追い詰めてしまいます。
1例として、
部下が商談での破談について、上司に報告をした際、
- きちんと事前準備をしていたのか?
- 遅刻したんじゃないだろな?
- なんで破談したんだ?
などと、
次々に投げかけるうちに、
声掛けが詰問になってしまうケースです。
部下思いで育成意欲の高い上司ほど、
いろいろと聞きたくなるのですが、
そんなことをしても部下は引いてしまうだけです。
上司に詰問され続けた部下は、
自分で考えずに、
何でも上司に聞くようになるか、
上司とは何も話さなくなってしまうなど、
部下が育つ環境を、知らず知らずのうちに、
自ら放棄してしまう状況にしてしまいます。
この場合は、
『どうやったら破談しなかったと思う?』
とプラス思考の声掛けを行うことで
部下が前向きに考えることができるようになります。
部下の成長を促すには、
声掛けのテクニックを磨くよりも
まずは相手に興味を持って観察するところから始めましょう。
例えば、
早めに出社していることの変化に気づいたら、
『最近、出社時間早いね』
という一言からでもコミュニケーションを取っていきます。
散髪に行った変化があれば、
『髪、切ったね』
見慣れない服装をしていたら、
『新しい服買ったの?』
など、部下の変化に対して
日頃の雑談を大切に積み重ねていくことで、
部下との距離感を縮まっていき、
『この人なら何を話しても大丈夫そうだ』
と思ってもらえる、親近感、信頼関係を構築することができます。
このように、
普段から何気ない雑談ができている関係性があれば、
『実は親の介護が始まったんです』
という身内の生活環境の変化の話も
してくれるようになるため、
上司として
『今の仕事量で大丈夫?』
といった気遣いも可能になり、
それが部下からの信頼向上にも結びついていきます。
昨今は、
在宅勤務も増えるなど、
プライベートの話もし難い環境になっていますので、
部下との信頼関係をいかに築いていくかが問われています。
上司の役割として、
より意識的に雑談の機会を作ることの重要性を
認識していきましょう。
仕事で気遣いができる人の特徴は?優秀な人が実践している気遣いの手法を実例で解説!
ここから本題に入っていきます。
上司が部下にするベストは声掛けは
とてもシンプルで、
下記の2つのポイントを徹底するだけです。
1つ目のポイントは、
部下自身がその時の状況を
もう1度思い浮かべさせる声掛けをすることです。
『先日、失敗してしまいました・・』
と報告があったら、
『どんな状況だったのか詳しく教えてもらえるかな?』
と、この一言を返すだけでOKです。
目的は部下の経験学習を促進することにあります。
部下が経験したことを
具体的に振り返って、
自分なりの教訓を引き出して学びに変えて、
それを次の機会に試して、
学びが活かされたかどうかをチェックする。
このサイクルを回すことが
部下を育てるためには大切です。
2つ目のポイントは、
興味本位の余計な声掛けはしないことです。
部下からの報告に対して、
上司が自分の興味で話をすることで、
上司のための時間になってしまうからです。
部下が話し終えた時に、
部下が自分のための時間だったと
思ってもらう必要があります。
そのため、
あくまでも部下に話をしてもらうことが
大切なため、部下の報告に対して、
『へぇ~それでどうだったの?』
と、相づちをうつような返答をするだけでOKです。
もしくは、
報告内容をそのままオウム返しで
『〇〇だったんだ~』
返すのも有効です。
そうすることで、
部下は自然と当時の状況を振り返って
内省を深めさせることができます。
内省を深めさせる声掛けとして、
『他にあるかな?』
という言葉も有効です。
例えば、
部下が仕事上で失敗し、
部下から、
『次はきちんと事前準備するようにしたいと思います。』
と部下が報告してきたら、
『そうだね。準備することは大切だね。準備で気を付けることあるかな?』
と返します。
すると部下は、
『え?』となり、『う~ん』と言って考え込みます。
『そもそも準備って具体的に何をしたらよいのだろう?』
と、内省を深める時間が
部下が育つために大切な時間になります。
また、
他には?と聞くことは、
部下が話す内容を限定せず、
何でも自由に話せる状況を作ることができるため、
とても有効な声掛けワードです。
プロジェクトを指揮する場合であれば、
全て決めてから指示を出すのはNGです。
部下に対して、
『この案件は誰と組むと上手くいくだろうか?』
『この案件をスタートするのはいつぐらいが良いと思う?』
といった声掛けを行うことで、
『それであれば、〇〇に強い〇〇さんが良いと思います。』
『〇〇の準備をしなければいけないので、〇月頃が良さそうです。』
といった返答が返ってくるはずです。
上司として、
『それなら、それでいこう!』
ということになれば、
部下が考えて出した答えですので、喜んで動いてくれます。
既に答えが分かっている側としては、
指示を出すことのほうが楽ですが、
部下を育てるためには、
一方的な指示を与えることはせずに、
部下の頭で考えさせて判断の経験を積ませる必要があります。
声掛けをすることを目的化するのではなく、
信頼関係を構築するために、声掛けを使う。
と考えることで、
結果的に部下に対して
良い声掛けを行うことができるようになることを
肝に銘じていきましょう。
動かない部下が自発的に動き出す話し方
自分の言いたいことを
伝えるだけでは、相手は動きません。
人を動かしたい時に
有効な手法の1つとして、
本題の前後をポジティブなフレーズで
挟み込む下記3ステップの方法を使うことで、
動かない部下を自発的に動かしたり、
やっかいな頼み事や
注意をする時に効果的です。
相手の強みや長所を褒める
本題に入る前に、
心理的に防衛の壁を作らせない
目的として、
相手が自信を持っていることや、
こだわりを持っていることなどを
褒めて、
『あなたのことをしっかり見ていますよ』
ということを伝えます。
褒め方は相手によって異なりますので、
下記のタイプ別に対応する必要があります。
このステップを踏むことで、
相手の聞く準備が整います。
- 成果重視タイプ
『仕事が速いね』
『先日のプレゼン、評判いいね』
など、
仕事の成果や結果を褒めます。
- 人付き合い重視タイプ
『チームワークが良いね』
『よく気がつくね』
など、
コミュニケーション能力の
高さを褒めます。
- 創造性重視タイプ
『そのアイデア、どこで思いついたの?』
『ひらめきの秘訣は?』
など、相手の創造力を褒めます。
- 分析重視タイプ
『仕事が緻密で丁寧だね』
『データを上手く活用しているね』
など、
正確さやきめ細かさを褒めます。
本題を切り出す
相手を褒めて雰囲気が良くなったら、
『ところで~』
と本題を切り出します。
注意や問題点の指摘をする場合、
あくまで事実ベースに話し、
相手の人間性まで
否定しないようにすることがポイントです。
今後への期待の言葉を伝える
相手の行動を促すために、
締めは前向きな言葉で終えるようにします。
『〇〇さんには期待しているよ』
『〇〇さんがやってくれるとチームが助かるよ』
など、
今後への期待を示すことで、
相手も気持ちよく動いてくれます。
進行が遅いといった
言いにくいことを相手に伝えたい場合・・
目的は
単に進行の遅さを指摘することではなく、
今の進行状況を改善してもらうこと。
つまり、
相手が行動を自発的に改めるように
促さなければ意味がありません。
そういったことを考えずに、
進行が遅い!
と本題のみを相手に突きつけると、
相手の反発心を強めたり、
必要以上に落ち込ませてしまうことに
なりかねません。
こういう場合は、
(褒める)
いつもチームのために
細やかなな気遣いありがとう。
(本題)
ところで最近、何かあった?
今進めている企画の進行が
遅いようだから心配しているよ。
(期待)
何しろ〇〇さんは、
これからうちのチームを
引っ張っていってもらわなければ
いけない人材だからね。
というように伝えましょう。
相手は素直に注意点を
受け入れて、自ら改善に向けて
動いてくれます。
上記の話法を使っても、
相手によっては、
聞き入れてもらえない場合はあります。
それには理由があり、
普段からどれだけ相手のことを
考えて行動しているかによって
結果に差が出ます。
同じ頼み事をされた時に、
自分の都合でお願いばかりを
してくる人、
いつもさりげなく励ましてくれる人、
間違いなく後者の依頼に応えます。
つまり、
日頃の行いが肝心ということです。
相手を動かすには、
何をどのように話すかという前に、
どれだけ良好な人間関係が
築けているかが大切なポイントです。
仕事で言いにくいことを伝える方法は?ビジネスシーン別フレーズ集
とにかく接触回数を増やすしか
ありません。
1週間に1時間話し合うよりも、
毎日1分の会話をする方が大切です。
話をする時は、
一方的に話すのではなく、
相手の興味のあることや、
変化に気づいたことなどを、
しっかりと目を見ながら言ってください。
ポイントは、
『あなたをしっかり見ていますよ』
ということを相手に感じてもらえるように
話すことです。
『私のことを認めてくれる人のためなら・・』
と、自発的に動いてくれます。
日々の人間関係の構築は、
とても地味ですが、
信頼の貯蓄を増やしていく上で、
とても重要なことです。
不信感が強まっているリーダーがすべき状況改善手法
不信感が強まっている職場では、
どのように話しても、
相手が納得して動いてくれないことが
あります。
その職場のリーダーに任されている場合、
下記手法によって
ゼロから部下との人間関係を
再構築していく必要がありますので、
該当している方は、
試みてみてください。
誠意を持って謝り、意思を伝える
今までの反省点を踏まえ、
自分ができていなかったことを
素直にお詫びしましょう。
その際、
『自分はこう変わりたい(こうしたい)』
と、困っている状況を
伝えることが大切です。
相手の意見を聞き、厳粛に受け止める
相手の率直な意見は、
すべて真摯に受け止めましょう。
たとえ事実とは異なる点があっても、
その場で、
『そうは言うけど~』などと
反対意見を述べるのは控えましょう。
3か月後、自分の言動の変化を尋ねる
3か月後、自分なりに改善した点が
実行できているか、
意見を求めた相手に確認してみましょう。
出来ていないところがあれば、
さらにアドバイスを聞き、
3か月後に確認するようにしましょう。
上記のように、
最初に誠意を持って謝罪し、
自分の意思を伝えます。
そして、
自分の反省すべき点、
職場の問題点などを部下に聞きます。
それらをすべて受け止め、
自らの言動を変えます。
そうすることで、
状況を改善させることが可能です。
大切なのは、
言行一致であることです。
言ったことは必ず実行するようにしましょう。
部下育成でノンバーバルコミュニケーションを活用しよう
ノンバーバル(非言語)コミュニケーション
を使わずに対話することは不可能です。
ノンバーバルとは、
身振りだけでなく、目の動きや姿勢、
服装など、言語以外のすべてを指します。
部下を指導する上で、
- どこまで言えば反発されるのか
- どの程度までなら受け入れるキャパがあるのか
ということについては、
相手に直接聞くことはできません。
そのような場合、
ノンバーバルコミュニケーションが役立ちます。
『目は口ほどにものを言う』という
ことわざがあるように、
会話の際、相手の目を見ることで、
- 部下がどの程度自分の話を理解しているのか
- 部下がどう感じているのか
の判断材料にもなり、多くの情報を得ることができます。
例えば、話をしている最中に、
部下が目をそらすのは、心の中で、
- 退屈だ
- 納得できない
などのネガティブな感情を抱いているからと考えられます。
また、目が泳ぐのは、
落ち着きがなく、嘘ややましいことがあると
いう情報を得ることができます。
ノンバーバルコミュニケーションにおいては、
目と顔の表情がとても大切なポイントになります。
人によって変化の程度に差はありますが、
目と顔の表情は、意のままに操ることはできないため、
本音を探ることができるためです。
目と顔の表情のわずかな変化に気づき、
対応できるリーダーは
対話について上級レベルになれます。
目を合わせる行為は、
性別や相手、話の内容や状況によって、
意味合いが変わってくるので、注意が必要です。
例えば、
女性同士で目をじっと見て話しても
意味深に取られることは少ないですが、
女性が男性の目をじっと見つめて
話したりすると、
男性は、その女性が自分に対して
何らかの興味、好意を抱いているのでは?
と誤解する可能性があります。
このように、
いつ、どこで、誰と、どうゆう話が交わされるかによって、
同じノンバーバルコミュニケーションの
行為やサインが、違う意味を持つことがあるため、
解釈の幅が広いのが特徴です。
また、自分と相手との距離がどのぐらい離れているか
によっても対話に大きな影響を及ぼします。
人は誰でもパーソナルスペースを持っています。
最も近いスペースに
家族や友人など非常に親密な関係の人間が
入ってくるのには抵抗を感じませんが、
それよりも離れた距離にいるべき
会社の同僚や上司が何の前触れもなく、
突然侵入されると不快感を抱きます。
相手との関係性、話の内容、状況に応じて、
互いの距離を測るようにしましょう。
最後に、
ノンバーバルコミュニケーションの中で、
自分の意思で操れるのが、外見です。
外見をどのように演出するかで、
相手が自分に持つイメージを
コントロールすることが可能です。
見た目と中身にギャップがあると、
強烈な印象を残すことができます。
ノンバーバルコミュニケーションは
対話の重要な要素だと認識して、
話し上手になるために
積極的に活用していきましょう。
世代間ギャップを乗り越え、後進育成を行うための心構え
若い世代を育成していくための伝え方
ミドル世代からすれば、 『失敗したら責任取るから思い切ってやってみて』 と言ってくれる上司は、 おおらかで頼りがいのあると感じます。 失敗から学ぶこともあり、 失敗を繰り返しながら成長してきたという人も 多いと思います。 しかし、若い世代からすれば、 『失敗するかもしれないと分かってるならやりたくない』 『なぜ正解を教えてくれないのか』 と反発する傾向がありますので、 ただ単に、 『失敗してもOK』と伝えるのではなく、 失敗の効能をしっかり言語化して説明する必要があります。- 気配りのできる人
- 自分の頭で考えられる人
21世紀のグローバル化時代に必要な分かりやすい人材教育
20世紀型の人材育成は
一言でいえば、『人口植林型』でした。
みんなが同じように考え、
同じように行動することを良しとしてきたため、
スギやマツといった単一品種の樹木を大量に植えて、
スギ林やマツ林をあちこち作ってきました。
工場で言えば、少品種大量生産です。
人口植林地は
同一の栄養分が大量に吸い取られるため、
土地がやせてしまいます。
今後も人材で同じことを続けていくと、
社会が萎えてしまいます。
そうならないためにも、
『雑木林』を育てるような
『多品種少量生産型』の教育が求められています。
1本1本が違う輝きを放ち、
紅葉の時期になれば、
見事なグラデーションで森全体が装うイメージです。
いろんな種類の落ち葉が土を肥やすため、
地面ではリスやミミズやらが元気に動きまわっています。
日本を強くしていくには、
そうゆう多様な人材輩出を目指す教育改革が必要な状況です。
現在は、過度期のため、
日本企業が悪い面だけかというと
そうではなく、
協調性とか団結力といった良い面を沢山持っていますので、
これはこれからも維持していく必要があります。
これまでの企業風土を捨てて、
みんなが勝手な自己主張を始めたら、
立ち行かなくなってしまうからです。
そのため、
5年先、10年先に新しい教育体系で育った人材が
大量に現場に配置された時、
彼ら、彼女らの語学力やディベート力といった
スキルは活かしつつ、
チームの中でどう戦力化するのか、
同じ目的に向けて団結するチームをどう作るのかが、
今後、多くの人が直面する重要な課題です。
今のうちから、そうした未来図を念頭に置き、
意識を転換させていく必要があります。
今の子供達は満ちているため、
何かモノが欲しいから、
という理由では頑張れない世代です。
親がどんなに勉強するのは将来のためになる
といってもほとんど効き目はありません。
この世代が欲しているのは、『仲間からの尊敬』です。
5~6人のグループ単位で
成績を競い合わせたり取り組みを行うことで、
自分1人だったらサボりたくても
チームの名誉をかけた戦いになると、
皆に迷惑をかけられないという意識が働きます。
また、否定語は使わず、
お互いを称えあうことで、褒められれば
誰でも、自分に自信が生まれます。
自分が信じられる人は、目標設定ができます。
自信がなければ目標もできないし、頑張りようがありません。
あれはダメ、これがダメ、
と短所ばかり指摘して矯正させる教育は、
人間を萎縮させてしまいます。
褒めて伸ばす『長所伸長型教育』が、
次世代人材を育てる教育のあるべき姿です。
長所をいかに伸ばすかという視点がこれまで以上に重要で、
あなたが現場を率いる先輩であれば、
チーム力を上げるために必要な要素となります。
1人1人を尊重し、褒めて自信をつけさせると人は頑張れます。
大人も子供もモチベーションを上げる方法は同じです。
次世代は極めて優秀な人材と
それほどでもない人材にグループがいくつか分かれていきます。
リーダーの度量を兼ね備えた卓越した人材が、
今後企業社会に入ってきた時に、
もし、自由裁量権がなく、あっち向け、こっち向けと
細かく指示されたら、彼らはやる気を失ってしまいます。
逆に、力の足りない人に好きなようにやらせると、
大変なことになりかねません。
能力をそれぞれ見極めながら、
その活かし方を個別に考えていく必要があります。
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